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Greetings領域代表挨拶

領域代表 中村修平 大阪大学 高等共創研究院 准教授
領域代表 中村修平
大阪大学 高等共創研究院 准教授

リソソームは内部に多種の消化酵素を持ち、細胞内外成分の分解を担う酸性オルガネラ(細胞内小器官)として知られています。細胞外や細胞膜成分はエンドサイトーシス経路により、細胞内成分はオートファジー経路によって目的地であるリソソームへ運ばれ分解されます。従来これら分解経路の研究では、リソソームへの物質輸送のメカニズム解明に焦点が置かれ、事実この数十年でその理解は飛躍的に進みました。しかし、これまで一般的に知られている細胞内分解機構としての役割はリソソーム本来の機能のほんの一部にしか過ぎないのかもしれません。

実際、最近の相次ぐ発見から、リソソームの分解産物や多彩なリソソーム構成要素が細胞内、細胞・組織間での情報伝達に積極的に関与することで細胞・個体の恒常性維持を担うことが明らかになりつつあります。すなわち、生物は物質をリソソームに運んだ後のプロセス、「ポストリソソーム」も細胞・個体の生存戦略の一部に組み込んでいると考えられますが、そこで働くシグナルの実体や作用機序の全容の理解にはまだ程遠い状況にあります。

ポストリソソーム生物学 分解の場から始まる高次生命現象の理解 ⽂部科学省 学術変⾰領域研究B

本領域では、高次生命現象の中でもポストリソソームの関与が示唆され始めている動物の寿命や老化を制御するメカニズムに着目し、この解明を目指します。本領域の研究を通してリソソームを単なる分解産物の終着点とする既存の概念を根本から転換し、多くの生命現象の起点とする新たな研究領域、「ポストリソソーム生物学」の創成につなげたいと思っています。アドバイザーの先生をはじめ多くの方々のフィードバックを受けつつ領域を発展させてゆきたいと考えていますので、本領域をどうぞよろしくお願いいたします。